こんにちは、歯科医師の小竹です。
今日は、親子受診についてお話しします。
まず親子受診を話す前にむし歯の原因についてお話しします。むし歯の原因は、細菌感染により起こります。生まれてきたばかりの歯のない赤ちゃんにはむし歯菌がおらず、むし歯にならないのです。
多くは、乳歯がはえてくる19か月から31か月の間に、ミュータンス菌(むし歯菌)にお母さんや身近な人からの感染で起こってしまいます。19か月から31か月というのは、ちょうど子どもの前歯が生えてきて(最初に歯が生えてきて)(19か月)から、子どもの奥歯が生えそろう(31か月)までの時期を指します。ちなみにこの時期のことは感染の窓ともいいます。
では、むし歯菌はどのように感染するのか?
むし歯菌の感染は、コップやスプーン、お箸など同じ食器やキス、口移しなどを介して感染し、起こります。
感染予防は非常に大切ですが、親子のコミュニケーションがなくなってしまうのもよくありません。
赤ちゃんと同じ食器を使う、キス、口移しなどを一切やめるというのは現実的に難しい話です。
そこで大事になってくることがあります。それは、お母さんをはじめご家族が歯科医院での定期的なクリーニングを受け、毎日のケアを徹底することなのです。ご自身の口腔ケアをきちんと行うことでお子さんのお口の中を守ることに繋がるのです。
上のグラフは、初産の母子を子供が生まれてから3歳になるまで母親の口腔ケアを行ない、子供が生まれてから7歳になるまで子供の虫歯菌の検出を調査したもので、3歳までの子供への感染はお母さんの口腔ケアをしないグループに比べてう蝕病原細菌の検出率が非常に低く、その後低いまま保たれているのがわかります。
つまりは、3歳頃までしっかりとしたお母さんを含めしっかりとした口腔ケアをすることでお子さんは虫歯になりにくくなるということが言えます。
また家庭での食生活もむし歯に関与します。たとえば、甘いものが好きでいつも何かしら甘いものを食べているようなご家庭の場合、知らず知らず習慣化しており、それが子どものむし歯を増やしているということもあります。そういった環境を知る上でも親子受診が大事になります。また、親子受診には、保護者の方のお口の中がキレイになって、むし歯菌の親子感染が減るということもありますが、ご家族のむし歯にならないように予防するという意識の変化も大切です。意識が変化することでお子さんは予防するのが当たり前という意識が生まれ、キレイな口腔内を自然と良い習慣が身につくようになります。とある歯科医院で調べたところむし歯の発生率は子どものみ定期検診に受診するよりも親子受診をしている子のむし歯の発生率が約1/3程度
に抑えられたというデータもあります。
現在では、マイナス0歳からの虫歯予防が推奨されています。
妊活~妊娠中からお母さんの口腔ケアを行い、お子さんを虫歯菌から守るというものです。
小さいころから虫歯には悩まされた、という方は是非!!大切なお子さんを虫歯菌から守ってあげてください。