「むし歯が悪化して、歯の内部の神経にまで達した!痛い!痛すぎる~!」と、時にこのような方が当院に来院されることがあります。そのような方は、待合室でもうつむいて、手を頬に当てて、見るからに痛そうです。
神経に及んだむし歯は激しい痛みを伴うだけでなく、そのままでは歯を失うことになります。そんな時歯を残す最後の切り札、砦の治療がかつらやま歯科医院が最も力を入れている「根の治療」なのです。
実はこれ、歯にとってま心臓病並みの大手術ですが、どんなことをするのかご存知ない方、意外と多いのではないでしょうか?でも実はこの治療、最近の当院では、むし歯治療以上に多いんです。特に40代以上の大人の方要注意です!
根の治療は、実は「歯の神経を取る」だけじゃないんですよ!イチから根の治療について一緒に学びましょう。
千葉市緑区、土気駅徒歩5分のかつらやま歯科医院、事務長の葛山祐子です。当院は「できる限り削らない」「できる限り神経を残す」治療を行い、生涯ご自身の歯で噛むことができる、健康で笑顔の美しい生活をサポートすることをポリシーにしています。
また院長の他に歯科医師が2名います。女性歯科医師もいますので、妊婦健診、産婦健診、小児歯科・予防歯科にも力を入れています。
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★「細菌感染を起こした部分を除去する」のが根の治療
歯の内部に神経があり、それが通る管を「根管」(根管)と呼びます。歯の神経にまでむし歯が及んでいる(達した)というのは、根管の中の神経が細菌感染を起こしている状態です。(正確には歯髄=神経と血管が細菌感染を起こしているのですが、ここではまとめて「神経」と呼びます)
虫歯の穴から細菌が入り込む以外にも、歯ぎしりなどの過剰な噛む力や、転んだ、ぶつけたなどの外傷により歯に亀裂が生じ、そこから細菌が神経に入り込んで感染を起こすこともあります。
ズキズキとした非常に強い痛みは、細菌が起こす炎症が主なものです。
そこで登場する歯の根の治療は、「歯の内部の細菌感染を起こした部分をキレイに取り除く」治療です。根管の中を掃除するので根管治療ともいいますが、当院では一般的に「根の治療」といっています。
取り除いた後は、細菌を新たに入り込ませないよう、削った隙間を埋めます。感染した部分が無くなれば、痛みもなくなっていきます。
★根の治療は実は「心臓病手術」並みの難しさ
歯の根の治療は、1本の歯が人間だとしたら、心臓にあたる神経にメスを入れる大手術です。歯科の治療の中でも特に難易度の高い治療で、ある研究によると、成功率は68~85%程度。しかしこれは、逆に言えばそのままでは抜くしかなかった歯を残せる可能性が6~8割あるとも言えます。だから当院では「根の治療は歯を抜歯から救う最後の砦の治療」と言っているのです。
根の治療を難しくしている最大の理由は、根管は1ミリ以下とその先端は髪の毛よりわずかに太い程度です。この中の様子って肉眼で見えますか?見えませんよね。しかも相手はその中にいるさらに小さい数マイクロメートルというミクロの細菌。
根管の形も問題です。まっすぐに1本通っているだけなら、治療も簡単ですが、湾曲や枝分かれしていることもあれば、「側枝」という小さな管が根管から伸びていることもあります。その形状は患者さん1人1人、歯1本1本によっても違います。
この細く、形が複雑で、しかも暗い根の中をミクロの細菌をしっかり取り除かないとまた繁殖して感染を起こしてしまいます。ですから歯の根の治療は歯科治療の中でも最も難しい治療の一つなのです。
治療を受けられる際には、これをまずご理解いただければと思います。
日本歯科医師会のHPでも様々な治療について解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
日本歯科医師会HPはこちら
★治療の流れ:ステップ1~痛い!これは神経からの最後の悲鳴~
最初に「治療前」の状態を見てみましょう。エナメル質から象牙質に虫歯が広がり、細菌が神経にまで入り込みました。感染により神経に炎症が起き、根の先には膿がたまっています。
この状態の患者さんは当院でもとても多くいらっしゃいます。ただここで問題なことは、この状態の時まだ「痛みを感じない」方がいらっしゃいます。そのような方は「痛みがないので、今治療しなくても」とおっしゃいます。
では、更に症状が進むとどうなるのでしょうか?強い痛みが出ます。痛みの原因は2つあり、1つは「神経が死ぬときの痛み」。神経が細菌感染を起こして死んでいくときに痛みが生じます。神経が最後の悲鳴を上げる時です。
もう1つは「膿があごの骨を圧迫する時の痛み」。歯の根のむし歯が進行すると、細菌が体内に入り込まないように、根の先が免疫と細菌の戦場となります。両者の死骸は膿になりますが、その膿が膨らんでくると、あごの骨の中で圧迫通を生じます。
このように、「痛くないから治療をしない」と言うのは1つの選択肢ではありますが、歯のトラブルは、むし歯もそうですが、まず自然治癒することはありません。当院では、細菌を体内に入り込ませないためにも、早めの治療をご提案しています。
ステップ2:感染部分の除去~根管内を掃除する~
細菌を取り除くには「感染部分を除去」しなくてはなりません。エナメル質や象牙質の感染部分(むし歯)を削り取ったら、根管内の感染部分(死んだ神経)を除去します。
この治療前に、ラバーダムシートという器具をお口にかけますが、これは根の中にだ液などを侵入させないためのとても大事な器具です。この器具の重要性を院長が動画で解説していますので、ぜひそちらも併せてご覧ください。
かつらやま歯科医院YouTubeチャンネル「ラバーダム防湿について」はこちら
根管の中は目で見えないので、歯科医師は歯の解剖学的知識とレントゲン写真などを手掛かりに、指先に全神経を集中して治療を進めます。ファイルやリーマーなどの先端で、細い根管の位置を確かめ、感染部分を削っていくのです。
当院では従来の器具に加えて、ニッケルチタンファイルという器具を使用しています。これは従来のステンレス製の器具より柔軟性が高いため、様々は形状の根管に対応できるからです。またモーターに取り付けて処置が出来るため、根管治療を短時間で行うことが出来ます。
★ステップ3:洗浄と消毒~細かい汚れを洗い流す~
感染部分を除去した時には、細かい削りかすが出ます。削りかすは細菌の塊ですので、これもしっかり取り除かないといけません。
削りかすを取り除き、器具では届かない部分の細菌を可能な限り減らすために行うのが次のステップ、根管内の「洗浄と消毒」です。
注射器状の器具で、消毒薬を根管内に行き渡らせます。根管ごとに4~5回繰り返して、汚れが浮いてこなくなったら完了です。
当院はこの消毒と洗浄にはPOICウォーターを使用してます。それも最高濃度の溶液を、温めたものを使用しています。これにより、洗浄と消毒力がさらに高まります。
★ステップ4:仮詰め~ここで受診をやめないで!~
根管内を洗浄したら、隙間に消毒薬を付けて仮詰め(仮封)をします。根管の形状が複雑だったり、根管の本数が多い場合は、一度仮詰めして、「続きの治療は次回に」ということになります。
ただし、仮詰めはあくまで「仮」です。根管の中の感染物質を除去し、痛みの原因である炎症した神経を取り除くと、歯の根の先に膿が出来ていたら、それが徐々に小さくなり、痛みは治まってきます。
だから「痛みがなくなったし、次の治療は先延ばしにしてもいいかな」と思われる患者さんもいらっしゃるのですが、それは絶対におやめください。
仮詰めが持つのは約2週間程度ですので、仮詰めが劣化したり外れると、また細菌が根管の中に入り込んで治療が台無しになってしまいます。次の治療には必ずご来院ください。
★ステップ5:根管充填~隙間を埋めて新たな感染を防ぐ~
根の治療の最後に行うことが「根管充填」、根管の内部を埋める処置をします。まず仮詰めを外して、根管内の消毒薬を洗い流します。
そしてシーラーと言う充填剤を注ぎ、ガッタパッチャーというスティック状のものを差し込みます。当院はシーラー剤を幾つか使い分け、患者さんに合ったものを使うようにしています。
根管内には空気が入りやすいので、液状のシーラーを注ぐだけでは奥まで入りません。ガッタパッチャーを差し込むことで、余計な空気が押し出されてシーラーが入り込みます。
この処置は、根管の内部を隙間なく埋めることで、新たな細菌が外から入ってくるのを防ぐことが目的です。ですから、新たな感染を防ぐためにも、きちんと埋められているかどうかを確認する必要があります。
当院はこの確認のために、根管充填が終わったら一度、レントゲン写真を撮り、根管がきちんとシーラーやガッタパッチャーで隙間なく埋まっているか確認しています。
根管の充填が終わったら、歯を整形して仮歯を装着します。
★ステップ6:治療終了~被せ物を入れます~
根管充填がすんだら、その上に土台を作り、仮歯を入れます。最終的な被せ物が入るまではこれで過ごしていただきます。
根管の中がキレイになり、痛みもなくなり、一安心。歯の根の先にある膿は、わざわざ歯ぐきと骨を切り開いて取ることはしません。膿はもともと細菌と免疫の戦いの結果生じているもの。近くにある細菌の温床~感染を起こしている血管や神経が無くなれば、自然と体に吸収されていきます。
★治療の成功率をあげるためにお願いしたい3つのこと
難しい治療である根の治療。成功率を少しでも上げるために、患者さんにご協力いただきたいことがあります。
①強い痛みが出たらすぐに受診を
歯の神経が細菌に感染して死んでいくときに、強い痛みが生じます。人によって激しく痛む方もいれば、かすかに続く方もいます。しかし数週間もするとパタリと痛みが止まります。
それは「痛みが無くなって良かった」ではなく、非常にまずい兆候です。神経が完全に死んで、痛みが無くなってしまったのです。
ですから、強い痛みが出たらすぐに受診してください。神経がまだ死んでいない時、つまり根管の中で細菌感染が広がり切っていない時に処置できれば、治療の成功率が上がります。
②仮詰め、仮歯の段階で中断しないで
根管の本数が多い、また根管内が複雑で1回では消毒、洗浄できないことがほとんどです。その場合は、治療途中の歯に仮詰めをします。
これは一時的、応急的な処置で治療はまだ終わっていません。劣化したり、外れたりすると細菌が入り込んで感染を起こし、治療失敗となります。
仮詰めや仮歯の段階で治療を中断せず、最後まで通ってください。
③治療した歯に無理はさせないで
神経の無くなった歯は、神経のある歯より構造的に弱くなります。それは歯の寿命にもつながります。
統計によると、神経の無い歯の喪失率(将来抜歯などで失われる確率)は前歯で1.8倍、奥歯では7.4倍になると言われています。
詳しい論文を参照したい方はコチラ
歯の治療をした歯は大事に扱ってあげましょう。何でも今までのように噛めるとは考えず、せんべい、するめ、ジャーキーなど硬いものをがりッと噛むということはお控えください。
かつらやま歯科医院は、You tubeチャンネルでも歯と全身の健康に関するお役立ち情報を配信しています。ぜひこのブログと併せてご覧ください。かつらやま歯科医院You tubeチャンネルはこちら
文責)葛山賢司
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